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2020.3.27

現在から未来 ~令和のSIerはどこに向かっていくべきか?~

現在から未来 ~令和のSIerはどこに向かっていくべきか?~

ベテランと若手の業界人が「平成の30年=SIの30年」を振り返ることで、SIerとしての自らの立ち位置や発想・行動パターンの特徴を再確認し、「令和=DXの時代」にいかに向きあうべきか、そのためには何をすべきかを考察する。

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平成元年から語る


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現在から未来 ~令和のSIerはどこに向かっていくべきか?~

I001-1.jpg三谷
この令和の時代に我々SIerはどこに行くべきか。鹿島さんいかがですか?
I001-3.jpg鹿島
いつも思うのは、なぜみんなアメリカ発なんだろうということです。先端技術に限らず、基礎技術から応用技術までGAFAみたいなところからみんな出てきてしまう。Uberのアプリケーションだって、エンドユーザとして使ってみると、本当によくできている。そんないいシステムをなぜ作り続けられるのかと、とても不思議に思っていたんですよ。今回の座談会の話を聞いて自分なりに考えてみたんですけれど、先ほど出たようにジョブホッピングの文化があって、企業の中に閉じていない。日本も自由な発想で、自由なことをやらせるような環境がないと、やはりだめなんじゃないかと思うんです。当社はシリコンンバレーに会社が2つあるんですけれど、その中の社員を見ていると優秀だなと思う奴らがいっぱいいます。その連中はこちらがぼやぼやしていたら「俺はいつでも辞めてやるんだ!」ぐらいの、包丁一本さらしに巻いてぐらいの根性があります。やはり技術者として「世界に出て戦うんだ」ぐらいの根性がないといけない。だからSIerとしても世界一流のエンジニアと対等に互せるような仕掛けを考えていかないといけない。未踏人材のようなね。
I001-1.jpg三谷
IPAが以前からやっている「未踏IT人材発掘・育成事業」のことですね。私の周りでも、未踏人材OBが目立ってきています。日本の人材にも十分にポテンシャルはあるということですよね。
I001-2.jpg猿田
ただそういう人たちがSIerに入ってこないんですよね。

一同:そうですね。(笑)

I001-2.jpg猿田
技術を極めたくてSIerに入ってくる人は、最近ほとんどいない。私は少し特殊で、SIerに入りたくて入ったわけではなくて、たまたま私自身がいいなと思うとがっている人が偶々SIerにいたから来たというだけなので、あまりSIととがった技術というイメージが結び付いていないというところがありますよね。
I001-4.jpg宗平
フロント系を開発している人たちは、持続的に安定したシステムをつくるというノウハウはない。彼らの主眼はいかに早く変更するかですから。だからフロント系をやっている人たちとコラボレーションが必要で、彼らがTry&Errorを繰り返し、方向が見えたら、SIerが引き取って、大量アクセスでも24時間稼働でも安心して使えるシステムにするというのはありかなと思うんです。本当はフロントをつくるところをやっていかないといけないと思うんですけれど。
I001-2.jpg猿田
常に新しい技術を入れるとなると、お客さんの抵抗があるんですが、アーリーアダプター層の新しい技術を試したいというお客さんも一定数います。まずはそういうお客さんと一緒にPoCなりして、成熟させて、普通にデリバリーできるようにするというプロセスでいろいろ回すということを我々も試行しています。SIerでもそういうことができるはずなんですが、そうはいってもトップガンみたいな人が入ってきてくれないことには、それを継続的にやっていくというのは難しいことなので、アピールしていくということも必要になってくるのかなと思います。
I001-1.jpg三谷
トップガンみたいな人たちを惹きつけるために一番必要なことは何なのでしょうか。やはり先進技術に触れられること?
I001-2.jpg猿田
最初のモチベーションとしては、技術もあると思います。それに結局、報酬とかもいろいろ加味されてくると思いますけれども。
I001-4.jpg宗平
SIerは実際にお客さんのフィールドはたくさん持っているんですよね。
I001-2.jpg猿田
特定のシステム、業界だけではなくて、色々な業界を横断的に見られるというのがSIerの強みだと思います。ただそこが生かせていないのは残念です。
I001-1.jpg三谷
私はコンサルティング業界に長くいるので、優秀で特定領域に強い「とがった人」をたくさん見てきました。とがった人たちが、特定組織に集まるモチベーションは報酬のほかにもあると思います。何よりその組織にイケてる連中がたくさんいて、一緒に仕事ができることは大きなモチベーションにつながると思います。
I001-4.jpg宗平
刺激を与えられる。
I001-1.jpg三谷
つまらない仕事も、おもしろい奴とやれるなら、それはそれでおもしろいですよね。
I001-3.jpg鹿島
野球の大谷選手が大リーグに行くみたいなものですかね?
I001-4.jpg宗平
たぶんそうですよね。
I001-1.jpg三谷
大リーグに行くモチベーションは、やはり高額の報酬だけではなく、とてつもなく高い能力を持つ選手たちとレベルの高い野球をできるということそのものではないでしょうか。イチローとかもそうですよね。レベルの高いゲームに参加することで、自分の技術が向上するチャンスがもらえるということが、爆発的なモチベーションにつながるのでしょう。

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I001-1.jpg三谷
さて、今のSIerの業界に対して、ここだけはちょっとやめたほうがいいとか、ここは変えたほうがいいとか、そういう話はありますか?
I001-2.jpg猿田
人材革新なくして技術革新はたぶんないと思っています。DXとは言いますが、それを実装する人たちのことまで考えられていないような気がするんです。役員層には人材を集め、育てる環境、働きやすい環境を考えている人もいると思います。ただ、現場と経営者層の間の人、事業に責任を持っている部長や課長は、当面の稼ぎが必要なので目先で回していかなくてはいけない。結局人材革新につながっていかないんじゃないかなと。そのギャップを埋めていくということが今後必要になってくるのかなと思います。
I001-1.jpg三谷
現場のエンジニアが「技術コミュニティに参加したいです」と言ったら、「おまえ、そんな暇があるんだったら、他にやることがあるだろう」と中間管理職あたりから止められるわけですね。
I001-2.jpg猿田
コミュニティに出たいんですという人がいるのは、まだまだマシなほうです。そもそもやりたいという人が入ってこないという問題も実はあるようです。
I001-1.jpg三谷
プロマネをやりたい人もいるんですよね?
I001-2.jpg猿田
プロマネをやりたい人もいますね。尖った技術をやりたい人は、SIerではなくベンチャーとかに行ったりするので。
I001-4.jpg宗平
ユーザの情シスもデジタル化でみんな困っているわけですから、そこを一緒になって取り組んで、一緒に変わっていきましょうというのが必要ですよね。
I001-1.jpg三谷
そのときに必要なのは必ずしもプロマネだけじゃない。

I001-4.jpg宗平
実際にやろうとすると、プロマネは必要なんですが、その前に技術をもっと磨いていかないと。
I001-3.jpg鹿島
みんなビジネスモデルという同じ言葉を使うけれども、実際にそのビジネスモデルが何を意味しているのかというのは、人によってみんな違うんですよね。私のところでは混乱するから、ビジネスモデルは何を、誰に売るのか、そしてどう作り、どう売るのか。ビジネスモデルを変革するというんだったら、この4つの内のどれを、どうやって変革して、新しいビジネスモデルを作っていくのかを言わせるんです。ただ、意図的に「競合」は落としてあります。競合なんて、いくら分析してもコントロールできないので。この4つがあると、実は売上げが計算できるんです。そこからコスト、利益が計算できる。当社がともかくやらなくてはならないのは粗利益率、営業利益率を上げることだから、ビジネスモデルもきちんと頭に入れた格好で議論しようぜということで、この4つを決めたんですよね。
I001-1.jpg三谷
SIer業界は、ビジネスモデルというテーマに対し、もう少し解像度を上げた細かいレベルでの議論をしないといけないということですね。宗平さんはいかがですか?
I001-4.jpg宗平
やはり受託開発の呪縛から早く解き放されないと、何も変わらないような気がします。よく言っているんですけれど、今経営の上のほうにいる人たちは、なかなか人月モデルから頭を変えられないので、当面の間は我慢するかなんて話をしています。(笑)
I001-1.jpg三谷
それでは遅いですね。(笑)結局、ビジネスにおいて提供する価値自体をシフトすることを考えなければいけません。 個人的にはやはりサービスの時代ですから、ユーザ企業と一緒にビジネスをしていこうぜ、ということをやりたいと思っています。そうするとすべての構図が変わってくる。前から言っているんだけど、実現はなかなか難しいです。
I001-4.jpg宗平
お客さんが儲かってくれると、我々も儲かると思いますけどね!
I001-1.jpg三谷
そのとおりです。ビジネスモデルはベンダ側だけの話ではないですよね。人月モデルが廃れないのは、それを欲するユーザ企業がいるから、というのもひとつの答えです。
I001-3.jpg鹿島
当社にネットワークの構築部隊がいるんです。その部隊のプライシングの仕方ですが、一つの仕事が、きちんと値段がくっついているタスクに分解できるんです。そうするとこれは人月じゃないですよね。ところがタスクの値段を計算するときに、もともとのコストとして人月みたいな概念が入っているのも事実なんです。結局一番のコスト要素は人月なので、どうしても人月の呪縛は切れないなというのがある。


I001-1.jpg三谷
最後に皆様がこれからやりたいこと、ビジネス上の抱負をぜひ一言ずつお願いします。
I001-4.jpg宗平
元々百年アーキテクチャを打ち出すなど、エンタープライズアーキテクチャをやってきました。この間、5月にMITのCIOのシンポジウムに行っていたんですが、MITSloanのチームもアーキテクチャ成熟度ステージの次のモデルを出してきました。Designed for Digitalというメッセージで、SOAベースで作ってきたコアシステムと、最近のデジタルの新しいものを組み合わせ、会社としての仕組みをどうつくっていくのかというフレームワークが出てきたので、これをちゃんと広めていきたいなということをいま思っています。
I001-3.jpg鹿島
エバンジェリストですか。
I001-4.jpg宗平
そんな感じです。どうやってやるかは、まだ考え中ですが、以上です!
I001-3.jpg鹿島
正直なところ、いつまでも私がやっているわけにはいかないので、早いところ、お金の勘定もできるし、おもしろいことをやりたいと思い続けるような人が出てきてくれるといいな、育てなくちゃいけないなと思っています。こんなことがやりたいという人が当社には結構集まってはいるんですが、夢はあっても儲からない話がほとんどです。会社が潰れては話になりませんから、堅実にやっていける人も欲しい。だから「鹿島さん、邪魔だ、どけ」と言ってくれる連中が出てこないかなと思って期待しています。これが私のやりたいことですね。技術者ではなく経営者として。
I001-2.jpg猿田
私はずっと技術者であり続けたい。私ができない部分は、会社にいろいろな人がいるので、補っていければなと思います。私が入社した当時のNTTデータにはオープンソースの世界で活躍している人物がたくさんいたから私は入社を決めたので、今度は私がその役割を担っていきたいなと思っています。NTTデータはSIerですが、こういうこともできるんだと、とがった人たちが入ってきたいと思えるような環境にしていきたいと思いますし、自分はそういう背中を見せていきたいと思いますね。
I001-1.jpg三谷
ありがとうございます。皆さんのお話をお聞きして、この業界にとっての「令和」はまだまだ明くなる可能性が高いということがよくわかりました。本日はありがとうございました。

#DX#SIer#オープンソース#対談

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